ライティング

文章という魔法を使えなければウェブで世界と戦えない

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SNSやブログで世界へ向けて情報発信をして、たくさんの人たちに注目してもらおうとコツコツ投稿しているけれど、閑古鳥の鳴き声が聞こえるほど反応のない寂しい思いをしている

 

スマホが普及して動画や写真が比較的簡単に扱えるようになり、書く仕事も読むユーザーもますます減っていくと思われていますが、Appleや楽天を含めどの企業のホームページを見ても未だにコンテンツの王道は文章であり、ユーザーも写真や動画を見た後に文章を読んでから購入などの行動を決定しています。

さらに、紙の媒体とウェブの文章は書き方が異なるために物書きのプロがウェブで活躍できるとも限らず、スマホ一台あれば誰でも魔法のように文字を駆使して世界に勝負を挑むことができるようになり、コピーライティングやブログ・SNSを通して大金を生み出す素人や個人も数多く出てきました。

一方で世の中には文章が溢れかえり、そのほとんどの質の低い記事やコンテンツはユーザーに見られずに、インターネットというブラックホールに吸い込まれていき二度と誰にも見つけてもらえないまま消えていきます。

その大きな理由として大半の人が「自分の言いたいこと」を書いており「読者が読みたいこと」を書いておらず、コンテンツを生み出す人の多くが自らの手で出したものに満足するオナニー記事を量産しているということになります。

今回は、ネットという奈落の谷に埋もれる記事を脱却して、一人でも多くの人の目に止まるためにはどういった意識を持って文章を書けばいいのかを探求していきます。

相手を想像しない文章は自己満のオナニー

文章を書き始める以前にまずは、読んでくれる相手を満足させる方法をしっかりと考えた上で文章を書く必要があります。

テレビやラジオにも多数出演し20代前半から20年以上ライターとして雑誌記事や書籍を執筆してきた戸田覚さんは、ウェブライターに移行してからも数多くの成果を出してきた上で、上場企業のウェブページですらひどい文章を書いていると述べており、著書の中で「何を書くべきか」について次のように記しています。

「大切なのは、書き手の「言いたいこと」ではなく、読み手の「読みたいこと」なのだ。つまり、読者は「読みたいこと」にしか興味がないのである。とても単純な話であるが、実はこのことをわかっていない書き手がとても多い。」

書く前に読み手を考えた上で発しない言葉は空虚である

戸田さんは、相手が最も知りたいたった一つの情報「キラーワード」を考えることが大切だと述べており、その文章を読むべき適切な人が「これって私のことだ」と感じてもらうことが書き手の最終目標だとしています。

ラルフ・エマーソンが「人は見ようとするものしか見ない」という名言を残しているように、優れた文章を書ける人はそれを熟知しており、何を書こうかと悩むよりも誰に対してどういった目的で書くかにこだわります。

ツイッターでつぶやく人の8割が自分のことを発信する”ミーフォーマー”という事実を考えると、多くの人たちはSNSですら自分の中にタマっているものを放出してスッキリしたいだけだと考えられ、「人を動かす」のデール・カーネギーが提唱する「相手に関心を寄せる」発信や、炎上覚悟で人々の中にタマっているものを代弁することができる勇気ある人こそが希少な存在となりフォロワーも増えています。

結局、顔の見えない誰かが発したそれっぽい言葉よりも、肩を寄せて耳元でひっそり語ってくれる言葉に大半の人は心動かされるので、世界中の人間の頬を軽く撫でるのではなく、たった一人のハートをグサリと刺す文章を書くために労力と時間を注いでみてはいかがでしょうか。

たった一人のハートを揺さぶる文章を目指す

想像をかきたてる文章は写真や動画を凌駕する

ジョン・F・ケネディのスピーチライターを務めたテッド・ソレンセンは、演説の原稿に目を使わずに耳だけで内容を理解できるように目標や成果を数字で表現する工夫をしていたと言います。

「人を月面に降ろしたあと地球まで安全に連れ戻すという目標を今後10年で達成するべく、全力で努力すべきだと私は考えています。」と説明するケネディの演説には、人が月へ降り立ち安全に地球に戻るまでのイメージがしやすく、これに続く演説もまた予算やその使い道について明確に述べられています。

人々が月面を思い焦がれる表現を演説に盛り込んだ

これは文章を書く時も同じで、アリストテレスはメッセージを伝える時はメタファーが効果的だとしており、難しい考えや伝わりづらい概念を相手がわかるような例えを使って説明していたと言います。

また、プレゼンを芸術の域にまで高めたスティーブ・ジョブズもスピーチの中で「iPodシャッフルはガムより小さくて軽い」という風にメタファーを活用して相手の想像をかき立てるような言葉を選ぶことによって心を揺さぶるプレゼンテーションを展開していきました。

たとえあなたが1ヶ月前に好きな人と話した内容については覚えていなかったとしても、話したときにどう感じたかは何年経っても忘れることはないと思いますが、文章を使って何かを感じさせたという印象は読者の記憶に長く残るものです。

話したことは忘れても、その時感じたことは忘れない

本当にいい文章というのは、相手の想像力を膨らませることによって新たな価値を考えるきっかけを与え、行動を起こす原動力になるようなもので、投資王ウォーレン・バフェットも参考にしたデール・カーネギーの会話力では相手にイメージさせるための方法として次のように述べています。

「聴き手にあなたが見たとおりに見せ、聞いたとおりに聞かせ、感じたとおりに感じさせることをめざしなさい。ここぞというところを具体的で色彩豊かな言葉で事細かに語る。それがその出来事を、いまそこで起きているかのように描き出してみせるのがいちばんの方法だ。」

ラブレターのように特定の人に対して書くほうが顔の見えない大多数に書くよりも何を書けばいいのかや目的がしっかりしているため、相手にどういった印象を持って欲しいかも明確になるはずです。

全米ナンバーワンのセールスライターとの定評を持つ、ジョセフ・シュガーマンは、著書『10倍売る人の文章術』の中で文章を読み続けてもらうために次の目的を把握することが大切だとしています。

「第一センテンスの唯一の目的は、第二センテンスを読ませることであり、第二センテンスの唯一の目的は、第三センテンスを読ませること、そして第三センテンスの唯一の目的は、第四センテンスを読ませることである。」

ついついその先を読んでしまう。気づいたら全部読んでいた。

昔の日本の大工は釘を一本も使わずに鳥居や建物を建てたと言いますが、文章もこれと似ておりただ単に文字を並べれば良いと言うわけではなく、緻密に計算された組み木の凹と凸の切れ端同士が互いにぴったりと重なって全体を支えるような「部分と全体」を考慮した技術が必要となるものです。

読む相手を徹底的に想像した後に待っているものは、その相手に想像させるための言い回しは何か、そしてどうすれば次の文章を読んでもらえるのかまで考えられた計画的でクリエイティブな作業なのです。

ダ・ヴィンチ「洗練を突きつめると簡潔になる」

スティーブ・ジョブズはレオナルド・ダ・ヴィンチの「洗練を突きつめると簡潔になる」という言葉を引用していましたが、一流の創業者やアーティストほど複雑なものをシンプルにするために時間を費やしており、その精神は彼らのスローガンにも表れています。

「スターバックスは職場と家庭にはさまれた第3の場所を創る」「iPod。1000曲をポケットに。」「グーグルなら、1クリックで世界の情報にアクセスできます。」- 偉大な企業はシンプルに方針を説明できる。

イギリスでノーベル文学賞を受賞した長崎出身のカズオ・イシグロ氏は、思いついたアイデアから小説に書き始める判断基準にもシンプルに伝えられるかどうかが重要だとしており、NHKの文学白熱教室で学生に向けて次のように述べていました。

「わたしが心がけているのは、アイデアを簡潔に二つ三つのセンテンスにまとめること。もしまとめられないなら、そのアイデアは今ひとつの証拠だ。(中略) 短い文章にわたしを悩ませたり刺激したりするような世界が広がっているのかどうか確かめる。」

もしまとめられないなら、そのアイデアは今ひとつの証拠。 Photo By Frankie Fouganthin - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0,

人は情報量や選択肢が多いと行動をためらう傾向がありますが、複雑なアイデアをそのまま相手に伝えてしまうとかえって相手は混乱して読むことをやめてしまうため、一言で考えを理解してもらうために書き手側はダヴィデ像を彫ったミケランジェロのように文章を削って削って削っていき、美しい統一性をもった文章に磨き上げていく必要があります。

これは文章表現だけに限らずに、ドラえもんは未来科学、ワンピースは人とのつながり、ハリーポッターは死といったように、学者が考えるほどの複雑なテーマをこれらの作品はわかりやすく心を揺さぶる演出で伝えているために多くの人たちに愛されてきたのかもしれません。

シンプルなほど真っ直ぐ伝わる。

伝説のコピーライターであるシュガーマンですら「もし、ここにいる全員がある商品広告の草稿を書くという課題を与えられたら、私の第一稿が誰よりもひどい出来になるだろう。第一稿のあとに行う作業こそが効果を生むのです。」と言っているように、優れた結果を出そうと思えばそれ相応の時間を簡素化に対して費やしてみてはいかがでしょうか。

ぐだぐだ言ってないで、とにかく書けばいい

ここまで述べてきたことをまとめてしまえば「読み手を理解して彼らが想像せずにはいられない言い回しを簡潔に書く」ということですが、実際にこの作業をやってみると分かるように、想像よりも多くの時間がかかることを実感するため多くの人は文章を書こうとする前からペンを置いてしまいます。

「世界不思議発見!」や「とくだね!」の放送作家を手がける石田章洋さんは、書くことが苦手な人のパターンとして著書で次の3つを指摘していました。

1, 何を書いていいかわからない 2, 考えを文章化できない 3, メンタルな理由で書けない

1と2に関して言えば、本文で紹介した通り相手をしっかり把握して目的を定めることで解決しますが、3つめのメンタルに関してはプロのライターでも陥ってしまうこともあり、アメリカの著名な作家でありスピーカーでもあるナタリー・ゴールドバーグ氏は著書の中で文章力を鍛えるまでについてこう語っています。

「ここは文章修行の学校。ランニングと同様、やればやるほど体得できる。ときには走る気が起こらず、3マイル走るのにも足が全然進まない場合だってあるだろう。でも、とにかく練習を続けること。その気になってもならなくても練習する。とつぜんやる気が出てきて心のそこから走りたくなるまでまったりはしない。そんなことはぜったいに起こらないからだ。」

やる気なんてそもそもない。気分がどうであれ走れ!

シートベルトが安全を考慮してあなたを座席に縛りつけるように、人間の脳には現状へと引き戻そうという機能(ホメオタシス)が存在するため、目標を設定するなどの普段とは違うことや変化が訪れるとストッパーがかかり、誰でも行動しないための言い訳を考えるようになってくるといいます。

音楽評論家のアーネスト・ニューマン氏が「偉大な作曲家たちは、意欲が湧いたから作曲に取り組んだわけではない。取り組んだので意欲が湧いたのだ。」と言っているように、やっているうちに意欲が湧くと信じてそれまで行動をし続けるという覚悟を持ち、とにかく書き続ければいいのです。

どんな壁が立ちはだかろうと挑戦し続ける。

結局のところ、インターネットを使って個人で世界に対して勝負を挑みたいというのであれば、ライバルに比べてどれだけの時間を費やしたかというのが量的にも質的にも勝る方法であり、神経科学の専門でもありミュージシャンでもあるダニエル・レビティン氏が「世界的な達人というレベルまで熟達するには1万時間の練習が必要なのです・・・・これより短い時間で世界的な達人の域に到達した例は見つかっていません。」と言っているように、コツコツと練習を積み重ねることが文章力に限らずどんな力をつけるにも大切になるのではないでしょうか。

それを踏まえた上で今後の時間の使い方を考えていくべきかと思います。

【参考書籍・引用元】

正しくウケる文章の書き方 プロのノウハウで「顧客」に読ませる / 戸田覚 日経BP社 , 林修の「話し方」の極意 /林修監修 宝島社 , スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン 人を惹きつける18の法則 / カーマイン・ガロ 日経BP, D・カーネギーの会話力 / D・カーネギー協会 , 魂の文章術 書くことから始めよう / ナタリー・ゴールドバーグ 春秋社 , 文章は書く前に8割決まる / 上阪徹 サンマーク出版 , カズオ・イシグロ 文学白熱教室 / NHK Eテレ , 一瞬で心をつかむ文章術 / 石田章洋 , 天才!成功する人々の法則 / マルコム・グラッドウェル 講談社

【筆者所感】

正直言って、私は文章で食べているわけではないですし文章力があるとも思っていません。ただ、興味の範囲が人より大きいため、本を読んで取り入れた知識をアウトプットしているだけです。

とはいえ、せっかく世に出すんだったら、自分の個性を生かして世の中に表現力で勝負したい人たちに向けて何か新しい価値やきっかけを与えられたらいいなと思って、毎週孤独に耐えながら本を読みあさり、ブログをコツコツ更新し続けています。

継続には3つの報酬が大切だと思っていて、ギャンブル的報酬、コレクション的報酬、快感の報酬の3つをどれだけ満たすかだと思います。で、ブログを書くと「お、アクセスあがったぜ!」というギャンブル的報酬や、たくさん記事が増えてきてコレクション的報酬、さらに「いい記事書けたかも」と読み返す時の快感など3つを満たしているのでかなり習慣になってます。

まぁ、書くのが好きなんでね。最初の頃よりかは文章力上がったかなと思いますが、まだまだ私も勉強を続けていきたいと思いますよ。

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