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ダメ人間で何が悪い?僕らはロボットの様に完璧なわけがない

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一体、自分は何のために生まれてきたのだろうか。

欠点ばかりの自分なんて、そこまで人の役に立たない存在なのではないだろうか。

健康や経済的に人よりも劣っていたり孤独を感じている人ほどこの問いにぶつかり、中にはその問いの答えを死という形で結論づける人も存在します。

当然、自分の無力さを感じることは向上の第一歩に成り得ますが、会社や学校では未だに他人をけなしたり批判をすることによって相手の向上を図ったり自分を優位に見せようとする愚かな考えが存在しており、それが原因で自殺をする人は見方を変えれば他殺といっても良いかもしれません。

元東京都監察医務院長の上野正彦博士の著書「自殺の9割は他殺である」によれば、いじめっ子やいじめられっ子には次のような特徴があるといいます。

これを見る限り、立場や力などが強い方がいじめっ子側に回っているだけでどちらも欠けているダメな部分があることがわかります。

いじめ問題は学校だけでなく、大人になってからも立場や年齢的に「自分はこいつより上だ」と勘違いしている人が弱者に対して圧力をかけることが当たり前となり、その人間関係のせいで自尊心を傷つけられ悩む人はとても多く、厚生労働省も「若い世代の自殺は深刻な状況にある」と言及しています。

池で泳ぐカエルに石を投げて遊ぶ子供はゲームの一つくらいにしか考えていなくても、カエルにしてみればそれは生死をかけた恐怖体験であり、いじめや圧力に関しても受けた側はとても大きな精神的ショックを受け「自分はダメ人間だ」という自虐的な考えが長期にわたって憑きまとう危険性があります。

やられた側にとっては大きな問題

ところが、ここで視点を歴史や成功者へと移してみると、実は世間的に「ダメ人間」と呼ばれたり孤独で何の能力や取り柄もないような弱い人たちが世界を揺さぶり動かしてきたことが多々ありました。

大企業を創り上げたS・ジョブズやA・カーネギーは自分では何も作っていませんし、ウォズニアックやリチャード・ブラウンソンには逮捕歴があり、ホーキング博士やヘレンケラーは障害者でした。

今回は、世間的にダメ人間、落ちこぼれ、不良、クズ、欠陥と見られるような人こそが実は社会的にとても重要な存在であるということをお伝えしていきます。

クズはクズでも星屑ならば輝く可能性がある

蟻の王理論」で紹介したように、蟻の世界には必ず「優秀な蟻20%」、「普通の蟻60%」、「まったく働かない蟻20%」が存在し、それは人間の世界のどの組織でもこの割合でランクが決まっているといいます。

学校で言えば容姿や成績、運動や社交能力の高い人ほど上位と考えられており、中間クラスの人たちや下の人ほど自分が下層になりたくないということで、溺れる犬を棒で沈めるかのように、他人の足を引っ張り下げることで中間クラスとしてのプライドを保っています。

ところが、日本全国に230店舗の美容院ヘアメイクアースを展開する経営者、國分利治さんは優秀なAランクの人材を育てる長い経験を経た上で次のように語っています。

「これまでの経験から浮き彫りになった事実は、「BランクはなかなかAランクにならない」ということです。Aランクがすくすくと育ってくれればいいのですが、実は、成功例の圧倒的多数が、「CランクがAランクに大化けする」というパターンなのです。」

自分のランクに気づけばいくらでも改善できる。 By EHK111 - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0

國分さんによれば、Cランクの人間ほど自分のダメな部分を自覚しているために、少し背中を押してあげるだけで努力をして大化けする可能性があるといいます。

任天堂の横井軍平は、これまでにウルトラハンドやゲームボーイ、ファミコンなどのヒット作を手がけ、スピルバーグ監督が尊敬するほどゲーム業界での伝説となりましたが、横井軍平が大学を卒業した当初、周りが次々と優良企業に就職が決まる中で「自分は落ちこぼれ」だと感じており、当時はまだ花札とトランプしか作っていない任天堂に就職した頃を振り返って、「任天堂に入社してしばらくは同級生に会うのが嫌だった」と語っていたようです。

任天堂を軌道に乗せたウルトラハンドも、横井自身が仕事をサボって勤務中に工作していたオモチャが社長に見つかったことから商品化されましたが、常識の範囲内にすぎない企業にしてみればそのような社員はダメ人間で片付けられていたかもしれません。

そもそも、誰しもが強みと弱みがあることが当たり前にもかかわらず、まだまだ可能性がある他人のことを「ダメ人間」と呼べる理由はなんなのでしょうか?

性格が劣っているとダメ人間なのか?

エリート文豪であった永井荷風は女遊びで有名で、「僕は自分のやりたいことはドンドンやって楽しむ!楽しんだことは後で後悔しない!」と宣言しており、次々と若い女性と結婚を繰り返していました。

永井は「自分で目にしなければ一行も文章を書かない」として、自分の小説のために覗きを趣味としていたばかりか、このような名言を残しています。

アーティストや創造する仕事をする人には世間では”最低”と言われるようなことをする人が多く、モーツァルトは「君の鼻にウンコをしてやる。なめてやろうか。」といった下劣な文章を人に送っていますし、チャイコフスキーは指揮をするたびにガタガタ震える臆病者で、ワーグナーは借金を踏み倒したり浮気三昧でニーチェから「ワーグナーは人間じゃない。病気の塊だ。」と言われるほどダメ人間と呼ばれる性格の持ち主でした。

とはいえ、彼らの音楽や作品が人々を感動させていることを考えてみれば、長期的に見てみれば良い結果を出しさえすれば性格の悪さは無視されるほどの小さなものだと考えることもできます。

画家のパブロ・ピカソは次から次へとパートナーを変えて、最終的には孫娘ほどの年齢差のある女性と関係を持っていました。ピカソは愛人同士を自分のために競争させることを好み、「女は苦しむ機械だ」とすら言い放っています。

ピカソの愛人マリー・テレーズが「ピカソはまず女を犯し、それから絵に描くのです。相手が誰であれ、同じことでした。」と述べているように、歴史に残るような名作を生み出している人物ほど考え方が独特であるために、世間では「ダメ人間」とされるようなことを平気でやっていることがあります。

結論ですが、性格が悪くても良くてもそれを判断するのは人間であり、悪い性格でも良い影響を与えることもあるということでしょう。さらに言えば、成功者と呼ばれている人ほど何かに突出している分、何かが大きく欠けているのかもしれません。

能力がないからダメ人間なのか?

厚生労働省の自殺対策白書によれば、自殺をする最も大きな理由が「健康問題」だそうですが、健康以外にもお金を稼いだり、人とのコミュニケーションをとる能力がないと感じて自らをダメ人間と考える人が多いようです。

これまで健康的だった人が病気になったり、周りの人の生活などの比較対象があると人は劣等感や優越感を感じて一喜一憂しやすいものですが、比較をしてしまえば上には上、下には下が存在しきりがなく、世の中にはとてつもなく能力が低い中で戦っている人たちも多く存在します。

マーティン・ピストリウスさんは12歳の時に原因不明の病により昏睡状態になり、16歳の時に意識だけは取り戻したものの体が動かせない状態が10年以上も続いたと言います。当然、周りの人からは意識が戻っているとは気づいてもらえずに介護をする母親から「あんたなんか死んでしまえばいいのよ」と言われたそうです。

マーティンさんはアロマセラピストの女性から「意識があるのではないか」と気づいてもらったことで、コミュニケーションをとることができ、現在ではイギリスの女性と結婚をしてを出版するほどの活動ができるようになっているそうです。

病気や障害と闘いながら仕事をしていた人物は多く、マクドナルドのレイ・クロックは糖尿病、ホーキング博士はALS、ヘレンケラーは熱病で視聴覚を失い人よりも能力に問題がありました。

イギリスで最も尊敬される歴代首相ウィンストン・チャーチルは、幼少期から発達障害に悩まされており、首相になってからの名演説では代筆は使わずに自分の手で書き上げた原稿を何度も入念な準備と時間をかけたことでイギリス国民のハートをつかんだと言います。

チャーチル自身、「欠点のない人間は信用できない」と公言しており、自他の悪徳も悲哀も全て含めて呑み込む度量を持っていたため多くの人に愛される存在となったのでしょう。

王だろうが乞食だろうが誰もが欠点とともに美点を持っている。

能力というのは「どこかが欠けている球」のようなもので、欠けている部分を補うか、欠けていない部分を転がしながら前へと進むしかないのではないでしょうか。

人一倍、欠けている部分が大きかった人物たちが諦めずに前へと進んでいった歴史を考えてみれば、我々にもまだできることがあるかもしれません。

結論ですが、能力なんて人によって違うのは当たり前で、ペンギンが飛ぶことを期待するから鳥として失格と考えてしまうのであって、泳げば魚よりも速く寒さにも強いことを考えればとても素晴らしい生き物だと思えるはずです。

比較などせずに唯一でも輝ける場所はどこかにきっとあります。

鳥の常識ではダメだが、氷の世界を生き抜いてきたのは事実。

失敗したからダメ人間なのか?

偉人や成功者の経歴を見てみれば失敗していない人がほぼいないのは予想がつきますが、歴史的大失敗と考えられているヒトラーの人生に関しても多くの失敗が含まれています。

ヒトラーは中高の学校を卒業できないほどだらしがなく、美術学校の受験にも失敗しており、18歳から25歳までウィーンとミュンヘンで職に就かずに親の遺産を食い潰しながら生活をしていたようです。

その後、軍隊に入るも昇進できずに兵営居住者としてとどまるうちに30歳を過ぎていきました。このまま浮浪者として終わっていれば歴史的には幸いだったかもしれませんが、そこから極右政党に入って、初めての演説でぶち抜きの大成功を収めた事で自分の中に眠る才能に気がついたようです。

国のトップにまで上り詰めて惨劇を起こしたヒトラーですら30歳まで自分の才能に気づかずに失敗を繰り返していたわけですから、今まさに失敗だらけの人でもどこで内なる才能に目覚めるかわかりませんし、心がけ次第で少なくとも彼よりも人の役に立つことができるでしょう。

人の失敗や違いに対して批判をして「ダメ人間」と呼ぶ人たちは、ユダヤ人を差別して迫害したヒトラーと同じような人間で、自分の事を棚にあげているだけにしか過ぎないのではないでしょうか。

オラクルのラリー・エリソンや一流セールスマンのフランク・ベドガー、そして画家や俳優の多くが30歳を過ぎるまでは失敗続きでしたが、ほんの少しの気づきがある事で一気に成功への階段を駆け抜けるような経験をしています。

商品開発やアイデアの企画をしているとわかりますが、そのほとんどが駄作や失敗作ということは日常茶飯事で、大量に生まれる失敗の中からたまに出てくる優良なものが世間で評価されるようになります。

Appleのデザイナーであるジョナサン・アイブ氏も「80%の仕事はすべて失敗に終わる」とした上で、このように述べています。

アイデアの質はトライ&エラーの量に比例する。

結局のところ、結果がでる途中でやめてしまうからダメ人間だと思われるのであり、結果が出てからやめてしまえば誰も文句は言えないのではないでしょうか。むしろ、結果を出すためにはその途中につまづく要因はたくさん出現するのが常で、問題はそれを乗り越えようと思うほど好きなことに取り組んでいるかどうかでしょう。

考え方が違うからダメ人間なのか?

小学校の問題で「3.9 + 5.1」 の答えを「9.0」と書いたところ正しくは「9」であると減点されたことでネット上で賛否両論が巻き起こりました。

ところが後日、ある番組で世界的数学者の森重文さんがこの問題に対して「できるだけ簡潔に書けと問題に明記されていないなら、別にどちらでもいい」と答えており、さらに数学者ガウスを例に出してこのように答えていました。

「数学者ガウスが10歳の時に1から100までの足し算の新しい解き方に気がついたのは、計算の順番を入れかえたからだ。」

ガウスは1から100までの足し算を学校で指定されなかった101×50=5050の計算で解決した

後にノーベル物理学賞を受賞したニールス・ボーアは、学校の解答用紙に教科書には載っていない違ったアプローチを書いたためにテストでは不正解にされ、日本画の偉人である葛飾北斎は他派の絵を模倣していたために師匠の勝川春章に破門されました。

この世の中には100%同じ考え方をする人間は存在せず、かつて主流だった常識が天動説から地動説へと変わったように、たとえ自分とは違う考え、もしくは夢や目標を持っているからといって人間性まで否定されるのは間違っているのではないでしょうか。

確かに悪の定義でも紹介したように、自己中心的な考え方の人ほど悪へと陥りやすいものですが、多くのアーティストがそうであるように、自己中心を突き詰めることで結果的に多くの人の役に立つものも多々存在します。

大切なことは孫子の兵法に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」とあるように、自分が何を求めていて、他の人も何をどう求めているかの考え方の違いを理解した上で行動できる人なのではないでしょうか。

考え方なんて雲のように、場所や時間によって形は変わるものですし、全く同じものなんて一つもないのですから。もし全く同じ考えを持っているのであれば、それはロボットのように誰かから作られた無味乾燥なものでしょう。

変わりゆく価値観を批判するのは雲を掴もうとするかの如く愚かなことだ。

結論:ダメ人間と決めつける奴こそダメ人間。理解力のないアホの言葉に耳を傾けるな。

不完全性定理などから見るように、あらゆる面で考えてみてもこの世の中には絶対は存在せずに、場所や人によって物事の捉え方が変わってしまうことはとても多いものです。

10兆円もの資産を持つ投資家のウォーレン・バフェット氏は、エレベータの中に1セント硬貨が落ちていたので拾うと一緒に乗り合わせた人は大富豪が1セントを拾ったことに驚いていたので、ニッコリと笑って「10億ドルへの第一歩さ」と答えたといいます。

世の中のほとんどの人たちが「1セントには1セントの価値しかない」と思っていても、投資の神バフェットにとっては将来10億ドルに化ける可能性に見えていることを考えてみれば、この世の中にはその人がそう考えない限り無駄な存在といったものはないのかもしれません。

どんなに巨大な運河もたった一滴の水から流れ始める

第一、社会を大きく変えるのはいつの時代も経験も能力もない若者で、スティーブ・ジョブズは自身で何も発明していませんが20代前半でコンピュータを普及させ、藤井聡太四段は14歳で将棋業界の記録を塗り替え、宮本彩香選手は24歳から始めたムエタイで世界ベルトを6つも獲得して歴史を塗り替えています。

ジョブズと共にAppleを創業したスティーブ・ウォズニアックは、中学校時代は機械を触りすぎて友達ができずに、さらには時限爆弾のいたずらをしたことで少年院に送られたこともありましたが、そんな中でも自分は幸せだとして次のように著書で述べていたことがとても印象的でした。

「ガールフレンドがいればもっといいなとは思ったけど、それ以外に足りないものなんてなかった。ユーモア感覚にあふれていたし、幸せな人生を送れるような考え方を持っていた。僕の前には幸せに続く道があったし、その道しかないんだっていうこともわかっていた。」

人がどう思おうと僕は常に幸せだ By Nichollas Harrison - Photographed Steve with his permissionPreviously published:  CC BY-SA 3.0,

たとえ人に迷惑をかけようが、ダメ人間と呼ばれようがこの世に生まれてきて少しでも可能性を持っているのだから人生をより良くするために足掻いてみようではありませんか。

本当に自分に自信のある人ほど他人の良い部分が見えるものですが、あなたの生き方を笑うような人は大した器の人物ではないので、気にせずに自分の輝ける場所で笑っていればいいのです。

たとえ馬鹿なことをしたとしても、あなたの中には必ずあなたの気づいていない力が備わっているのだから。

 

【参考書籍・引用元】

「ジョブズは何も発明せずにすべてを生み出した / 林信行 青春出版社 」,「 ウォーレン・バフェット 成功の名語録 世界が尊敬する実業家、103の言葉 / 桑原晃弥 PHPビジネス新書」,「 ヒトラーとは何か / セバスチャン・ハフナー 草思社」 , 「ゲームの父・横井軍平伝 任天堂のDNAを想像した男 / 牧野武文」, 「 落ちこぼれてエベレスト / 野口健 集英社」 , 「ピカソは本当に偉いのか?/ 西岡文彦」, 「アップルを創った怪物 もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝 / スティーブ・ウォズニアック ダイヤモンド社」 , 「チャーチル150の言葉 / ジェームズ・ヒューズ Discover」 , 自殺の9割は他殺である 2万体の死体を検死した監察医の最後の提言/ 上野正彦 KANZEN , 地道力[新版] 目先の追求だけでは、成功も幸せも得られない! / 國分 利治 PHP研究所 , やりたい事をすべてやる方法 / 須藤元気 幻冬舎

今回の「個人的に面白かった参考書籍ランキング」→ 1位:横井軍平伝、2位:ウォーレンバフェット、3位:ウォズニアック

【筆者所感】

私もいろんな所でダメのレッテルを貼られてきた方なのですが、ロボットでもない限り人にはダメな部分が存在していて、むしろそのダメな部分が人間臭くて愛すべきものなのではないかと思います。

 

私の知人に生まれつき体に障害を持っている70代の社長さんがいますが、たくさんの人に支えられながら慈善活動を繰り広げていて、五体満足の自分もなにか人の役にたつことをしていきたいと彼に会うたびに考えさせられます。

コンテンツ制作をしている私は、『ストーリーの主人公は「ダメ人間」であるほど人々の共感を呼びやすい』ということを知っているので、どちらかといえば最初から恵まれた人よりも「ダメ人間」の方が成功した後も愛されやすいのかなと考えたりします。

そう考えれば、自分のダメさに落ち込んだとしても、これから成功することを思い描くことでむしろドラマチックな人生があると楽観できるのではないでしょうか。

私のまだまだダメな部分が多いこの文章で、少しでも思いが伝わってくれれば幸いです。

【オススメ記事】

悪の定義『悪人は自分に目を向け善人は他者に目を向ける』

↓いつも共有してくださる方々に感謝します!\(^o^)/
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